2009/3/30/

「針金人形の思い出」


Asc05833 最近発売された新しい可動フィギュアに、「TWIST ACTION FORM」というものがあります。
今のところ、実写版変身ヒーローがその題材に選ばれていますが、既存の、間接がむき出しのままのフィギュアとは違い、素体をレザースーツでくるみ、その上からアーマーなどを取り付けているので、まさに中に人間が入っているかのような印象を与えます。
また、可動部分は間接があるわけではなく、素体の中に丈夫なワイヤーが入っていて、それを折り曲げることでポーズを作ります。
ようは、中に針金が入った人形にスーツを着せているようなものですね。
アイテムの詳細は、うちの第２艦橋などを見ていただくとして。

このフィギュアで遊んでいるうちに、ふと、記憶の奥底からよみがえってきたことがありました。
私も昔、まだホントに子どもの頃、こんなような「針金人形」を考えたことがあったのです。
その頃、私のヒーローといえばやっぱり「ウルトラセブン」でした。
燃えるような体色とスパルタンなフォルム、ウルトラマンとはまた違った戦闘的なスタイル、全てにあこがれていたものです。
しかしまだ、怪獣やセブンの大きなソフトビニール人形などは、私の住む地方では発売されていませんでした。なんせ、デパートに行くまで電車とバスで１時間以上もかかる田舎ですからねぇ。
私も、セブンの「自分で動かせる」人形が欲しくて仕方ありませんでした。

そうしているある日、子どもの私の脳裏に、何かがピピッと閃きました。
「ああ！じゃあ、作っちゃえばいいんじゃない？」
針金で大の字の芯を作り、その回りを赤い布で覆い、中に綿を詰め込んで、可動フィギュアを作ろうと思い立ったのです。

もちろん自分じゃ作れないので、私はこんな感じの設計図（笑）を描き、一緒に住んでいたおばあちゃんに頼みました。おばあちゃんは
「はいはい」
と引き受けてくれ、１日もしないうちに、その「素体」を作ってくれました。

私はその頭に、セブンが三輪車に乗っている謎の玩具・・・昔はよくあったんですよ、そういうの・・・の首をもぎ取ってはめ込み、自分だけの可動フィギュアを作りました。
もちろん体の模様なんか入っていないし、頭は似ていない上にすぐ抜ける、という代物です。
しかしそれでも、そういうものが何にもない時代でしたから、ものすごく嬉しくて。
何度も何度も動かして、（頭の中で）（いもしない）怪獣と戦わせたものです。
おばあちゃんは、そんな私をニコニコ見ていました。

ところがその人形は、早くも翌日、右腕の内部がポッキリと折れてしまいました。
所詮子どもの設計、おまけに中に入っているのが針金１本では、それは当然です。
私は、壊れたのももちろんショックでしたが、おばあちゃんに何と言っていいのか分からず、目の前が真っ暗になり・・・後どうしたのか全然覚えていませんが・・・とにかく、そのセブンはどこかへしまってしまいました。

それからしばらくして、私が別の遊びをしていると、おばあちゃんが後ろからやってきて言いました。
「あのウルトラマンは（おばあちゃんは、何回説明しても、「セブン」と覚えてくれませんでした）どうしただ？」
私はおばあちゃんの顔を見られず、こう言ってしまいました。
「ちゃんとあるよ」
おばあちゃんは「そうかい」と言って、そのまま立ち去っていきました。

どうしてあの時、私は素直に「壊れちゃったから、直して」と言えなかったのでしょう？
ただそれだけのことだったのに。そんなことで怒る人じゃなかったのに。
多分おばあちゃんは、あれが壊れてしまったことを察して、ああ言ってくれたに違いありません。
それなのに、私は・・・。

そんなおばあちゃんも、今はもういません。
もう、謝ることもできません。謝りたいことは、いっぱい、ほんとにいっぱいあったのですが・・・。

最新の玩具を見ながら、何だかね、古い思い出で目が滲む春の日でした。




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2009/3/15/

「けっこん」


お姉ちゃんの受験も無事終わり（まだ結果出てませんが）、うちにも彼女にも、平穏な日々が戻ってきました。
彼女はのへへんと
「あー、受験勉強も何もしないで済む土曜日って、良いなぁ」
と、ぐーたらしています。
いや、勉強しなくて良いってわけじゃないと思うが・・・まぁ短い期間だからな。好きにせい。
隣では、マブがいそいそと、Wiiで遊ぶ準備をしています。
そう、うちではお姉ちゃんは、「合格するまでゲーム禁止」令が出ていたのです。
だって全然勉強しようとしないから（笑）。

別に、マブまで付き合ってゲームをしない必要はなかったのですが、私が
「お姉ちゃんが（塾とかで）いない間は、遊んでも良いんだよ？」
と言っても、
「（お姉ちゃんが）受かるまで我慢する」
と、健気にゲーム機を封印していたのです。なんて泣かせる子でしょう。
それが解禁となったので、お姉ちゃんも久しぶりに、楽しそうにマブと「スマッシュブラザーズＸ」を遊んでいます。
くどいようですが、まだ結果出てません。

さて、うちでは「ゲームは午前・午後３０分まで」と決まっています。
時間になったので、マブはお姉ちゃんに
「もう終わりだよ。高校に入っても勉強はあるんだから、勉強しなよ」
と促し、彼女は渋々電源を切りました。
「それから、机の周り片づけなよ」
マブの声が追い打ちをかけます。まるで、うちの妻のようです。
グータラな人間が相方だと、必然的に、もう一人はきちんとした性格にならざるを得ないのでしょう（おい）。

お姉ちゃんを取り仕切ってくれるマブが、あまりに頼もしかったのでしょう、隣から妻が言いました。

「ありがとね、マブ。
いっそのこと、お姉ちゃんとけっこんして、面倒見てあげてくれない？」

すると彼は言いました。

「やだ。あんな、めんどくさい人」

ああツンデレだ（笑）。そんなとこまで、誰かそっくりだ。


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