2008/10/25/
「カード」
うちのマブは、遊戯王カードにはまっており、クリスマスプレゼントにもそれをねだるほどでした。
しかしどうも見ていると、単に「遊戯王のカードだから好き」というわけではないようです。
私の買ってくる、ハイパーホビーとかガンダムＡとか、そういった雑誌の付録にトレーディングカードが付いてくると、それがライダーだろうがガンダムだろうが、
「ちょうだいちょうだい」
と言って欲しがります。
「お前、カードなら何でも良いのか？」
と尋ねると、何の曇りもない目で「うん」と答えます。
こないだなんか、少年サンデーだか何だかの付録に付いてきた「ハヤテのごとく」の、ハヤテの女装姿のカードを
「ちょうだいちょうだい」
と言って、持っていきました。ホントにカードなら何でも良いのね・・・。
そうやって、カードを集めているうちに、余計な知識も付きました。
「ねぇとんたん」
「何」
「昔は、（仮面ライダーチップスの）カードが欲しくて、それだけ集めて、
中のお菓子（チップス）棄てちゃってた子がいたって、ホント？」
「ああ、ホントらしいな。
お父さんはそんなコトしなかった（というか田舎だから、チップス自体売ってなかったよトホホ）けどな」
「そうなんだー」
マブは頷いて走り去っていきました。
数日後。
マブは、妻に叱られたらしく、二人で何か口喧嘩をしています。
「マブは別に、ママの子に産まれたかったわけじゃないもんねー！」
「じゃぁ、何だって言うのよ！」
妻も大人気なく、語気を荒くしています。
「とんたんの子に産まれたかったんだよー！」
嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
「ママの子になっちゃったのは、つ・い・で！オマケだよ！」
いや、その辺にしておいた方が。
「ママなんか、『仮面ライダーチップス』の、オマケの方なんだから！」
お前、嬉しいけど、ホントにその辺にしておいた方が・・・って、あれ？
仮面ライダーチップスで、大事にされていたのは、オマケの方で、
本来のチップスの方が棄てられていたんですが？
私が棄てられる方ってことか？ええ、そうなのか？(^^;)
2008/10/13/
「電撃・稲妻・熱風」
うちの村で秋祭りがあり、久しぶりに私の兄弟が顔を揃えました。
うちの弟の子供、けんちゃんも一緒です。
彼はドタバタとあちこちを走り回り、ニコニコと笑いながら、時折突拍子もない言動をして、私たちを笑わせます。
私たちは
「自分の子供の時には気が付かなかったけど、
『よつばと！』って、本当に子供の行動をそのまま描いたマンガなんだなぁ」
と変な感心をしていました。
すると、けんちゃんが突然、不思議な歌を歌い始めました。
「♪ え～んれすふぁ～い え～んれすふぁ～い
かっとび～ ふぁい～ ♪」
「けんちゃん、何歌ってるの？」
妻が尋ねますが、彼はニコニコ笑ってるだけで教えてくれません。
すると突然、うちのお姉ちゃんが、続けて歌い始めました。
「♪ 電撃 稲妻 熱風 電撃 稲妻 熱風 ♪」
もちろんそれは、仮面ライダーＺＸ（ゼクロス）のテーマソング「ドラゴン・ロード」です。
けんちゃんも嬉しそうに
「♪ でんでき いなうま れっぷ～ ♪」
と合唱しています。
弟によれば、けんちゃんは、毎日車の中でライダーのＣＤを聞いているうちに好きになってしまったとのことです。
２５年も前のヒーローの歌を口ずさむ３歳児。
それに合わせてあげる女子中学生。
誰もＺＸ見たことないくせに。
なんて微笑ましい光景でしょう（ええっ？）。
私の、いや、私たち兄弟の、教育は間違っていなかったと、あらためて思った瞬間でした。
私がそう言うと、妻が睨み付けました。
「この兄弟は！いい加減に悔い改めろ！」
もうどうにも手遅れな気がしますけど？
2008/10/05/
「音楽祭」
先日、地区の小･中学校の合同音楽祭があり、妻と二人で見に行ってきました。
お姉ちゃんもそうですが、今回はマブも小学校の吹奏楽部の一員としてなんか演奏するらしいのです。
彼はコルネットを吹いていますが、夏休みといえども、家で練習した姿なんて見たことがありません。
私も妻もかなり不安でしたが、ほら、誰がどう吹いてるかなんて、私たちにわかりっこないし（笑）と割り切って聞きに行きました。
会場は広い体育館、マブは壇上で何か準備していますが、何せちびっ子なので、楽譜の陰に隠れて見えません。
それでも、壇上で練習をするマブに、私たちが「がんばれー」と手を振ると、マブはぷい！とあらぬ方向を見てしまいます。
親に応援されるの（しかも吹奏楽で）は、もう恥ずかしい年頃なのです。
「これさぁ･･･見に来なくても、後で録音聞いても同じだったんじゃないか？」
私が、ＰＴＡにあるまじきことを言うと、妻が
「何言ってるの！こんな大事なイベントを！はい手ぇ振って！」
と叱りつけます。
私が泣き言を言うのも、初秋の高原の体育館、オマケに床は板張り、もうとにかく寒くて寒くて。
もう最初からぶるぶる震えていました。
ところが、私ががたがた震えているというのに、妻は平然と冷たい床に座っています。
「何で、この寒いのに平気なの？」
私が尋ねると、妻はにやりと笑って
「触ってみそ」
と、自分の背中を指しました。背中の中央が、少し膨れています。
私が触れてみると・・・なんだかほのかに暖かい。
「いやされたー」
私が和んでいると、妻は腰の辺りも指して言いました。
「こっちも触ってみそ」
そこもなんだか膨らんでいます。
「あーっ！」
私もようやく気づきました。彼女は（自分だけ）ホッカイロを入れてきたのです。しかも２個も。
「何だコイツ！自分だけ！信じられねぇ！」
「何すんのよ、離しなさいよ！」
「いいから一つ寄こせ！」
「ちょっと、やめてってば！」
私たちは他の人に聞こえないように、静かにド突き合いを始めました。
ふと気が付くと、壇上からマブが、私たちを見ています。
私たちは慌てて手を引っ込めました。すぐに演奏が始まりました。
帰宅してからマブに、いい演奏ができたかどうか尋ねると、彼は言いました。
「そんなことより、ママとお父さんが、
なんかバカップルみたいに、いちゃいちゃしていてやだかった」
ああ！何てこった！あれは罵り合いだったというのに！（おい）
来年はホッカイロを持っていこう。